ドラッグストアと調剤薬局は、医薬品を扱う点に違いはありませんが、担う役割が大きく異なります。しかし何が違うのか、具体的なイメージが浮かばない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、ドラッグストアと調剤薬局の違い、薬剤師が担う業務の違いについてご紹介します。自身の場合は就職先としてどちらを選ぶべきか、キャリア選択の参考にしてください。
ドラッグストアと調剤薬局の違い
ドラッグストアは小売店としての性質が強く、調剤薬局は医療機関としての性質が強い傾向にあります。 ドラッグストアは「医薬品と化粧品を中心に、日用家庭用品、文房具、フィルム等の日用雑貨、食品を取り扱う店」(※)と定義されています。一般用医薬品(市販薬)のほかにも、さまざまな商品を取り扱っているのが特徴です。調剤薬局が併設されている店舗に限り、調剤・投薬もできます。
※引用:一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会「ドラッグストアの定義」
一方、調剤薬局を含む「薬局」は法律によって下記のとおり定義されています。
薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務並びに薬剤及び医薬品の適正な使用に必要な情報の提供及び薬学的知見に基づく指導の業務を行う場所
引用:e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」
調剤業務をメインとしており、一般用医薬品や食品などの販売は少ないのが特徴です。
また、ドラッグストアと調剤薬局は、業務時間も異なります。ドラッグストアは定休日を設けていない場合が多いほか、朝から深夜まで営業していることも少なくありません。一方、調剤薬局は医療機関と同様に、日曜日や祝日は休日となり、営業終了時刻も18時や19時に設定されている場合が多い傾向にあります。
ドラッグストア・調剤薬局における薬剤師の働き方
近年では調剤薬局併設のドラッグストアも増えており、薬剤師の勤務先の選択肢は広がっています。しかし、調剤薬局とドラッグストアでは、薬剤師の仕事内容は大きく異なる点に注意が必要です。薬剤師の勤務先としてメジャーな、調剤薬局における業務内容からご紹介します。
調剤薬局で勤務する薬剤師のメイン業務は、下記の4つです。
- 調剤、投薬、服薬指導
- 監査(処方薬のチェック業務)
- 薬歴管理
- 在宅業務(患者様の家や施設での投薬、服薬指導)
医療的な業務が多いため、スピードよりも正確性とコミュニケーション能力が必要になります。薬剤師として調剤・投薬業務に集中したい人に適しているといえるでしょう。
ドラッグストアでの業務内容は、調剤薬局併設の有無で異なります。調剤薬局が併設されていないドラッグストアでは、要指導医薬品や第一類医薬品を含む一般用医薬品の販売と、服薬指導を担当します。そのほかに健康状態や医薬品に関する相談を受けたり、レジ打ち・品出し・陳列・在庫管理・売り場づくりをしたりするのも、業務の一環です。
一方、調剤薬局が併設されているドラッグストアでは、上記にくわえて調剤業務も担います。そのため、接客や販売のスキル、コミュニケーション能力、さまざまな商品のなかから最適なものを選びだす知識力と提案力などが求められるでしょう。
ドラッグストアは業務の幅が広いため、調剤薬局にはない、スキルアップ・チャレンジの場が多くあります。また営業時間が長く、夜間勤務もあるため、収入面でのメリットも大きいといえるでしょう。
まとめ
ドラッグストアと調剤薬局では、担う役割、医薬品や商品の種類、業務時間など、さまざまな点で違いがあります。薬剤師はどちらへ就職しても医薬品に関する業務ができますが、働き方はまったく異なる点に注意が必要です。それぞれの業態の特徴、業務内容の傾向をよく確認しておき、自身にあった職場を選びましょう。